本を読むこと-読書から何かを学ぶためのブログ-

読書のプロフェッショナル目指して邁進中。小説からビジネス書まで取り扱うネタバレありの読書ブログです。読書によって人生を救われたので、僕も色んな人を支えたいと思っています。noteでも記事を投稿しています。https://note.mu/tainaka3101/n/naea90cd07340

2016-01-01から1年間の記事一覧

動機(横山秀夫)を読んだ感想・書評

動機 (文春文庫)作者: 横山秀夫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2002/11メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 39回この商品を含むブログ (140件) を見る 横山秀夫の二作目である本書を読了した。意外だったのは本書の短篇四作における主人公の職業が、表題に…

書きあぐねている人のための小説入門(保坂和志)を読んだ感想・書評

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫) 作者: 保坂和志 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2008/11 メディア: 文庫 購入: 25人 クリック: 111回 この商品を含むブログ (58件) を見る 本書を読めば、千人に二、三人は小説家としてデビューする…

マドンナ(奥田英朗)を読んだ感想・書評

マドンナ (講談社文庫) 作者: 奥田英朗 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2005/12/15 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 29回 この商品を含むブログ (137件) を見る 40代会社勤めの男性を描いた短篇を五作盛り込んだ短篇集だ。 かなりテンポ感の良い文体で…

i(西加奈子)の書評・感想

i(アイ) 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2016/11/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 「この世界にアイは存在しません」 主人公の名前はワイルド曽田アイ。アイという名前をもつ彼女にとっては衝撃的な言葉で物語は…

こころ(夏目漱石)を読んだ

こころ (集英社文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 集英社発売日: 1991/02/25メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 180回この商品を含むブログ (126件) を見る ここ数日、訳有で仕事を休んでいる。1日の軸に据えられている仕事をする必要がなくなると、自分…

コンビニ人間(村田沙耶香)の書評・感想

芥川賞を受賞し、アメトーークで取り上げられることで爆発的に人気が加速した「コンビニ人間」を読了した。 コンビニ人間 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/07/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (33件) を見る 主人公は十…

何もかも憂鬱な夜に(中村文則)の書評・感想

本書を読んで、自分の中にある倫理観や価値観で、「この本の死刑に対する考え方は……」と論を急がないでほしい。僕は本書の価値はそこに留まらないと思うし、中村文則の小説は自分の世界観を広げてくれるところに価値があると判断しているからだ。 本書には光…

エッセンシャル思考(グレッグ・マキューン)の書評

これほど生きるうえでの活力を与えてくれる本が他にあるのだろうか――。 僕にそう思わせるほど、本書の出来(伝えたいことの明確性)は素晴らしい。今僕が抱えている人生の進路選択に関する悩みも、この本を読むことで好転するように思える。 エッセンシャル…

海の見える理髪店(荻原浩)の書評

本書は直木賞受賞作である。装丁の色合いが好きで気が付けば購入していたのだが、買い時と読み時が全く異なる僕の性格ゆえ、なかなか読むことができていなかった。 海の見える理髪店 作者: 荻原浩 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/03/25 メディア: ハ…

聖なる怠け者の冒険(森見登美彦)の書評

かわいい怪物たちが装丁に描かれている森見登美彦の作品がついに文庫化された。舞台はやはり京都で、ぽんぽこ仮面という狸の怪人が大暴れ? くだらないけど気が付けば次のページをめくってしまう不思議な物語であった。 聖なる怠け者の冒険 (朝日文庫) 作者:…

第29回小説すばる新人賞受賞者が決定 驚きの16歳

タイトルの通り、小説すばる新人賞の受賞者が決定したようだ。 急いで小説すばるを購入すると、なんと受賞者は16歳ではないか。大抵の人は自身よりも若い年齢で活躍している人と対峙するとき、「その頃の年齢の自分って何をしていたっけな」と振り返るのでは…

働く人のためのアドラー心理学を読んだ感想

自己啓発本に頼るのはイヤだな。なんとなくこんなことを思っていたことがあった。恥ずかしながら自己啓発本は著者の成功体験の押し売りだと誤解していたのだ。もしもあなたが、そのような自己啓発本への躊躇いが原因で本書やアドラー心理学を避けているのな…

女のいない男たち(村上春樹)の書評

先日、村上春樹のエッセイを読んだ。影響を受けやすい僕はすぐに村上春樹の作品を手にとることにした。ちょうど読もうと思いつつ、ずっと本棚に置きっぱなしになっていた「女のいない男たち」がいいだろうと思った。 女のいない男たち (文春文庫 む 5-14) 作…

職業としての小説家(村上春樹)の書評

村上春樹が職業的な小説家になってから三十年以上の月日が経過している。 これは僕が生きてきた年月を有に超している。これだけ長い年月の中で、なんとなくだけど自由奔放に、思うがままに、小説を執筆してきたイメージのある村上春樹が、どのような思いで小…

ひどい句点(佐々木愛)を読んだ書評

第96回オール読物新人賞 受賞作「ひどい句点」の書評を記す。 新人賞の受賞作をリアルタイムでブログのネタに使うのは初めてかもしれない。個人的に新人賞にはその人が作家としてどのように作品と向き合っていくのかという決意が記されていると考えているの…

第三の時効(横山秀夫)の書評

職場の先輩から唐突に第三の時効という小説を紹介された。 横山秀夫の本は何冊か読んでいたし、第三の時効を読むことにも躊躇いはなかった。そのためすぐに購入し読むことにした。職場で小説の話ができる!と実感できたことも僕の背中を押してくれた。 第三…

仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方の書評(2/4)

前回に引き続き書評を行いたいと思う。 bookyomukoto.hatenablog.com ありがたいことに前回の書評を投稿した時点で、著者からコメントをいただき、フェイスブックにも転載いただいた。時折、このように著者本人からコメントをいただき、私の示唆に対してコメ…

きりこについて(西加奈子)の書評

きりこは、ぶすである。 そんな衝撃の一文から物語は始まる。「ぶす」という一言は、基準に差はあれど、おおよその人間が同じような価値観を抱いている。それは「アホ」とか「ボケ」とかのように端的に相手を傷つける言葉だ。 西加奈子は本書の主人公ともい…

作家の収支(森博嗣)の書評

僕は森博嗣という作家を知らない。 しかし彼が有名な作家であると同時に、小説家という職業について、様々な情報を開示してくれる人間であることは知っていた。 そんな彼が作家のお金周りに関する本を出していたので購入した。 作家の収支 (幻冬舎新書) 作者…

外資系銀行の資料作成ルール66の書評

先日、先輩が近くに座る私の同僚(この人も先輩だけど)にこう言った。 「これを参考にして、資料作成してください」 先輩の手元には一冊の本があった。横目でそれを見やる私。 その後、資料作成がみるみるうちに上手くなっていく同僚を見ていると、どうしよ…

となり町戦争(三崎亜記)を読んだ感想

「となり町戦争」というタイトルヵら本の内容を簡単に推察することができる。「なんとなく、こんな感じ何でしょう?」と本の概要を説明し始めるような人間だっていそうなぐらいだ。 僕もそのような考えをもっていた。「戦争」という言葉は、あまりにも近くに…

斜め屋敷の犯罪(島田荘司)を読んだ感想

ホラー作品を連想させるような装丁に、たじろぎながらも読了した。 その描写は「斜め屋敷」というよりも、「断崖絶壁にある古城」といった風で、実際に読んでみた時の印象と、読む前の印象では全くその様相が違ってきた。 改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社…

仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方(1/4)の書評

本書は四章にわけられている。そのため私もそれに倣って記述したいと思う。 今回はミスメモリーについてお話したい。 仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方 作者: 宇都出雅巳 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 発売日: 2016/08/1…

メモで未来を帰る技術(小野正誉)を読んだ感想

以前に「ゼロ秒思考」という本を読んだ。 考えたことを一分内にできるだけ具体的に記入していくことで、思考のスピードを高めるというものだった。 本書も少し、これに近い。しかし、かなりゆったりとしている時間軸の中で、取り組むことができるので、ゼロ…

モダンタイムス(伊坂幸太郎)を読んだ感想

人は大きなシステムの中にいる。 それは世界であったり、国家であったり、会社や学校であったり。大きな枠組の中に、またいくつかのシステムが存在しているのだから、それらは、無数に存在しているといえる。 このシステムの役割や意義について、考える作家…

サラバ!(西加奈子)を読んだ感想

久しぶりに全身に鳥肌が立つような物語に触れた気がする。 西加奈子が物語を紡ぐことに、想いを言葉にすることに、どれだけの時間と情熱をかけてきたのかを全身で感じることができる小説だった。 サラバ! 上 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 小学館 発売日:…

少女は卒業しない(朝井リョウ)を読んだ感想

「少女は卒業しない」 とてもいいタイトルだと思った。以前にも言ったことが何度かあるが、朝井リョウの小説はタイトルが個性的で、いいものが多い。それだけで読みたいという意欲を高めてくれる。 少女は卒業しない (集英社文庫) 作者: 朝井リョウ 出版社/…

ゼロ秒思考(赤羽雄二)を読んだ感想

モヤモヤした気分を解消したいと思ったときに、あなたはどのような行動を取るだろうか。 僕ならきっと、お酒を飲んだり、ギターを弾いたり、友達に相談したりする。この中で最も効果をあげそうなのが友達に相談することだろうか。人に自分の考えを話すことで…

もう一度生まれる(朝井リョウ)を読んだ感想

なんて強く人を惹きつけるタイトルなのだろうか。 初めて本書を目にしたとき、僕はそう感じた。物語のすべてをひと目で見ることができない世界で、その物語に与えられたタイトルは強い意味を持つ。朝井リョウはタイトルで人を惹きつけるのがとても上手い。そ…

プログラミングを始めよう(池澤あやか)を読んだ感想

「ITってよく聞くけど文系だし分かんない」 就活でよく耳にする言葉だ。NTTのような大企業に興味はあるもののIT知識(特にプログラミング)が絡んでくると意味が分からない。そのような方に向けて池澤あやかは本を書こうと思ったのだろう。 アイディアを実現…