最近思考に関する本をまとめて読んでいる。仕事をするにしたって、ブログでおもしろい記事を書くにしたって、そこには自分が思っていることをうまくまとめる力と伝える力が必要だと実感したからである。思考というと「何かを思いつく」ことにばかり焦点を当てている人がいるが、色んなものを見て・触れて整理することが思考の最も大切な要素ではないだろうか。
「仮説思考」という言葉はすっかりビジネス世界で浸透しているようである。僕も就活~企業の研修まで様々な場面でこの言葉を聞いてきた。一方で「仮説思考」が「ただ単に仮説を持って考えよう」程度でしか解釈されていないような気がしていた。これでは自分の力にならないと危惧した僕は、改めて本書を読むことにしたのだ。
本書では仮説思考を「まだ証明していないが、最も答えに近いと思われる答え」と解釈している。あくまでもその時点での答えにすぎないことを自覚したうえで、仮の答えを出しているということだ。なぜこのようなことをするのか。それは意思決定のスピードを上げるためだ。先に仮説を立てて問題に対する解決策とストーリーラインを作ってしまう。そうすると大半は証拠が充分に揃っていない状態になるので、その証拠を集めることになる。この際に間違った証拠ばかりが集まってくる場合は、仮説自体が誤っている。すると間違っていた場合に立て直しがすぐに図れる。意思決定には期限が定められていることが多い。あえて意見を狭めることで不要だと思う情報を捨てることができるようになるのだ。
例えば三ヶ月かけて進めるプロジェクトがあるとする。この場合、二週間程度で仮説を出してしまうのがよいのだと著者は提案する。プロジェクトは「仮説→実験→検証」のタームで進む(いわゆるPDCA)。仮説思考で進めると最も大事な検証で大きな時間を確保できるようになるのだ。そのため仮説は早く立てる。クイック&ダーティで素早く情報を集めることが大切になるのだ。だから意見を持ったときには、一度誰かにアイデアをぶつけてみるといいだろう。相手が自分の気付いていなかった指摘をくれるかもしれない。また、仮説をぶつけるということは相手に選択(意思判断)を求めるということなので、あくまでも考える労力は自分が持つということになる。それも大きなメリットのひとつになるだろう。
仮説を立てるための頭の使い方として三つの方法が本書にて提案されている。①反対側から見る(1.顧客・消費者の視点 2.現場の視点 3.競争相手の視点)、②両極端に振って考える、③ゼロベースで考える。以上の三つである。自分一人の視点ではなく様々な視点で考えることは、こうやって見ていると「当たり前のことだろう」と思ってしまうのだが、実は忘れやすい。元々は相手の要望に応えるために仮説をたてることが多いのだろうからこの視点は念頭に置いておく必要があるだろう(仮説=相手の要望✕問題解決)。また相手に質問する機会を得たときは決まりきった質問だけして満足していてはいけない。相手の答えに対して深掘りを重ねて意見の質を高めていくことが必要だ。相手が思考するポーズを取り始めたらOKだ。
このようにしてできた「良い仮説」は、深掘りされていて、次の行動にも繋がりやすい。今後は仮説とその後の行動を意識して働くことを念頭に置きたい。
○読後のおすすめ
仮説思考の次に出版された思考に関する一冊だ。かなりまとまっていて学べることがたくさんある。仮説思考で曖昧にされていた仮説の絞り方の部分に絞って記述されているので、二冊を読んで初めて一つの体系的な知識が獲得できるのかもしれない。
すでに論点思考を読了している方に向けて書いた記事である。
「仮説思考」でも取り上げられているゼロベース思考について考えることができる一冊を読んださいの記事。