ロバート・キヨサキ,シャロン・レクター 筑摩書房 2006-11-10
「起業家の仕事は経営へのアプローチの一つで、われわれはそれを『現時点でコントロール可能な資源の種類や量にかかわりなく、チャンスを追及すること』と定義する。
チャンスを追及すること……この大切さを実感している方は大勢いらっしゃると思う。みんなが生きていく中で課題だと感じることに対して、直接的なソリューションを考えることは、実は簡単だったりする。なぜなら、コインの裏返しで考えていけば、頭の中で課題を解決することは容易いからだ。しかし、それでは意味がない。アイデアは実行するからこそ意味を持つ。実行されないアイデアとは、何にもならない。それでも人は中々実行できない。従業員として優れた才能を発揮するように教育されてきた人からすると、ゼロからチームを組んで、ビジネスとして課題を解決することは、全く想定外の生き方になるからだ。そのような領域に踏み出す恐怖を紛らわすための言い訳を考える方が、とても簡単で傷つかないで済む。
さて、上記のように定義された真の起業家は、自分のリソースの有無に関わらずビジネスチャンスをうかがているという。孫正義は好例で、学生時代から毎日アイデア創出のための時間を5分つくり、教授や学生を巻き込んでシャープに製品の売り込みを成功させている。ここで、起業家ではなく従業員てきな考え方をしてしまうと資源がないことを理解して諦めてしまう。しかし、真の起業家は資源の有無に左右されず、壮大な未来図を描けるのだ。
このような従業員と起業家の思考の違いは、以前にも記述させていただいた。
今まで受けてきた教育が、左側のクワドラントに属するものだったのだから、思考の違いが発生するのは仕方ない。しかし、その違いを理解せずにいることは問題だと思う。常に客観的に自分のことを振り返って、自分が、自分の思ったような生き方をできているか考えるべきだろう。
そして、思考の違いについて、本書では別ベクトルでも述べられている。それが以下の図に示す四分類である。
それぞれ説明しよう。
Aタイプの考え方をする人は、分析することを大切にする。新しいアイデアを提案しても批判的な意見が返ってくるかもしれない。時間をかけて決断することを臨むので、そのアイデアについて詳しいことを何度も聞こうとする傾向が強い。
Cタイプの考え方をする人は、創造的な考え方をするのが好きな人で、全体を見つつ枠にはまらない自由な発想をしようとする。Aタイプの人からすると論理的に思えない部分もあるだろう。Cタイプの人は、非論理的なことも取り入れて、自分の中の論理に落とし込む力に長けているので、そのような柔軟な発想が可能なのである。
Tタイプの人は、最も想像しやすい分類だろう。自分の好きな技術を調べたり試したりすることに熱心になるタイプである。ときにエイリアンのような言葉を遣うかもしれないが、彼らの業界では、そのような専門用語で話した方が、圧倒的に理解しやすいのだと思う。
Pタイプの人は、人の注目を引き付けたり、誰にでも屈託なく話しかけたりすることができるタイプの人である。ビジネスでは、スタッフに好かれるし、スタッフも「この人のためなら頑張れる」と言うだろう。以前にShowroom代表の前田氏が、「製品ではなく、ビジョンで人を集めなさい」と言っていた。製品は市場動向で終わりが見えるが、ビジョンに共感した人は、その想いをかなえるためにずっと一緒に働いてくれるという考え方だ。きっとPタイプの人は、この考え方を自然にできるのだと思う。
人は誰でもこのような思考の傾向を持つのだという。しかし、どれか一つに偏ることもない。実際にいくつかの思考パターンを持つ同僚を見たことがある人もいるだろう。起業家は、PとCの力を持つことが大切だと思う。だから残りの二つの思考を持つ人をチームに加えることが必要になる。もし、起業家になりたいのにPとCの力が欠けているのであれば、その力を鍛えるための努力も必要だろう。
次に本書で紹介されている起業家にとって必要なもうひとつのフレームワークについて説明したいと思う。
これはB-Iトライアングルと呼ばれている。会社に必要な要素をビジュアル化したものである。起業する際に語られることの多くはアイデアとビジネスモデル(システム)であるが、他にも大切なことがたくさんある。このトライアングルは、その大切なことを漏らさないように意識するためのものになる。そして、製品(サービス)によって、その他の構成要素によって生まれる出費を賄う必要があるのだと気づかされる。
ロバート・キヨサキは、この構成要素のうち一つでいいから、強みをもつ必要があるのだと述べている。例えば、彼はコミュニケーションを強めるためにゼロックス社で営業成績を伸ばす取り組みに奔走した。元々彼は、内気な性格で、営業成績も最下層だった。しかし、金持ち父さんのアドバイスで挑戦量と、それに伴う失敗量を増加させたことで、経験学習のサイクルを速く回すようにした。その結果社内のトップセールスになり、これがコミュニケーションのレベル向上につながった。結果的に彼は、いくつかの起業を経験し、今では安定的で持続的な収入基盤を得るに至ったのだ
今は日本にも起業の波がやってきている。一方で、その全員が成功しているわけではない。それは根気はもちろんのこと、起業にも理論的に解明できる部分の学習が必要だからだと思う。しかし、それが少しないがしろにされているのではないだろうか。僕は、先人たちの成功をこのようにブログにまとめて、自身の行動に反映させることで、少しでも自己実現の達成に近づきたい。
〇読後のおすすめ
金持ち父さんについて学ぶのであれば、スタート地点は、こちらの本を読むことになるだろう。