人を操る禁断の文章術(DaiGo)を読んだ感想・書評
さて、七つのトリガーを理解したら、最後に5つのテクニックを駆使して、伝えたいことを書くだけだ。5つのテクニックは以下の通りである。
①書き出しはポジティブに
心理学で初頭効果というものがある。最初の印象が、後の印象に強く影響することを指したもので、一説によると持続期間は半年にも及ぶと言われている。ここでいうポジティブは、単に明るい文章を書けというものではない。感謝の気持ちを含んだり、物事を前に気持ちよく進めようとする気持ちを含んだ文章だと考えるべきだろう。
②なんども繰り返す
伝えたいことが一度で伝わるとは限らない。自分の伝える力だけでなく、相手の捉え方によっても伝わり方は変わるのだ。だから本当に伝えたいことは相手に何度も繰り返し伝えるべきである。その際、言葉や文章は色んなパターンに変化させるべきだろう。その方が相手の印象に残りやすい。
③話しかけるように書く
これは既に上述している内容と同じで、キレイなだけの文章を書かないようにしようという戒めである。一方で、人は文章よりも会話のほうが内容を覚えやすいという研究結果もあるようだ。なので、自分が伝えたいことを会話調にして、それを文章として整えることを本書ではおすすめしている。本書の中で例が紹介されいてるのだが、確かに流れるように文章を読めるので伝えたいことが直観的に理解できた。
④上げて、下げて、また上げる
これは脚本などの起承転結でも頻繁に議論される内容だろう。人は比較して、その落差で喜怒哀楽を判定していると僕は考えている。なので、文章でもその落差を意識して取り入れることで、相手の感情に訴えかけることが可能になる。ちなみに本書では、その落差を取り入れた戦法が使いやすいという理由で、ピンチな状態ほど挽回がしやすいということが記述されている。
⑤追伸をつける
人は達成されたことよりも、達成されなかったことを強く記憶しやすいようだ。これは意図的にそのような曖昧な余白を作りやすいことからおすすめされている。追伸部分に軽く書かれた文章を見て、それについて考えることで、自分送り手について考える時間ができるというのだ。
以上、本書に書かれていることと(わずかだけど)僕が考えていることをまとめた。このようにまとめてみると、いかにもあっさりした内容に思えるが、重要なのはこれを実践して自分の技術を磨くこと。そして、相手の特性をしっかり理解することだろう。
〇読後のおすすめ
文章術について学ぶ人の中には、それを恋愛で取り入れたいという理由を持つ人も多いはず。そんな方はこちらも読んでおくとよいだろう。かなりラフに書かれているし、面白おかしく読めるのだが、その実内容は素晴らしいと思う。ぜひ参考にしてほしい。
ふがいない僕は空を見た(窪美澄)を読んだ感想・書評
おふくろが、へその緒がついたままの赤んぼうを仰向けに寝た女の人の胸元にのせたとき、小さな体の割にはでかく見えるちんこが見えた。おまえ、やっかいなものをくっつけて生まれてきたね。
男性の性欲を司っているのが、本当にこいつなのかはさておき。象徴として存在しているこいつを憎む男性は世の中にたくさんいると思う。こいつが存在していなければ……こいつをもっと制御することができれば……そんな風にして失った大切なものを悔やむ人を何度も見てきたし、僕自身も自分の意見がくだらない一時的な欲求に左右されてきたことを認めざるをえない。『ミクマリ』の主人公のように、自分が大切だと思う女性が二人存在するとき、もしも性欲が自分の意思決定に関わってこないとしたら、自分は一体どちらを選ぶのだろう? 僕はそんなことを考えた。そもそも性欲がなくなったときに、自分はどのように女性に接するのだろうか。何を基準にして一緒にいたいと思う人を考えるのだろうか。今、僕はどうやって一緒にいる人を選ぶべきなのだろうか……。あまりにも体に馴染んでしまったあいつのことを考えると、実はそこに生き方の幅を広げる大きなテーマが存在していることに気づく。僕たちはどこまで考えて生きるべきなのだろうか?
さて、表題になっている「ふがいなさ」とは何だろうか。僕が幼い頃に抱いていた、この言葉のイメージは「とてつもなく大きなものに負けてしまうこと」であった。何をしてもどうやったって変わらないことに対して諦めることを指す言葉だった。でも、今は違う。「何だってできるはずなのに、自分の気持に負けて行動できないこと」を指す言葉になった。僕たちが考える多くのことは実現可能なことだ。それを行動に移すことが怖いだけ。怖いのは情報が足りないからだ。でも、その情報は行動することでしか手に入らないかもしれない。じゃあ行動した結果、大事な情報が入って、取り返しのつかないことになったらどうする? あまりにも弱い僕はこんなことを考えてしまう。これ自体がふがいなさである。僕たちは常にこんな風にして心の隙間に割って入るふがいなさと対峙しながら生きているのかもしれない。
〇読後のおすすめ
本書と似た要素をどこかで感じる小説をピックアップする。
ナラタージュ(島本理生)を読んだ感想・書評
LOVE理論 新装版(水野敬也)を読んだ感想・書評
一瞬でYESを引き出す 心理戦略。(DAIGO)を読んだ感想・書評
ブランド人になれ 会社の奴隷解放宣言(田端信太郎)を読んだ感想・書評