水野敬也は「
夢をかなえるゾウ文庫版」で一躍有名になった作家です。ブログも有名で、笑えるけど有益な情報が得られる文体は幅広い世代の方に人気だと思います。本書もかなりくだけた文体で書かれていて、恋愛にそこまで興味がなくても笑える一冊になっていると思います。
さて、本書は恋愛心理というよりは、恋愛指南という形式が正しいと思うので、冒頭の紹介から若干ズレた部分もあるのですが、かなり面白かったので、気になった個所を抜粋して書き残しておこうと思います。
・うわっつらKINDNESS理論理論
よくある男女のやり取りで、「あの男性の気遣いとか優しさとかすごくいいんだよね」「いやいや、あいつは女性の前だけ優しくしてるだけで、本当に優しいわけじゃないぞ。女って本当にちゃんと見てんのかな」という会話があります。男としては、よりもっと根本的な男としての優しさを見てほしいのに、女はうわべだけのちょっとした行動で優しさを受け取っているというギャップが問題になっているようです。本書では、これを利用しようと提唱しています。つまり、とことんうわべの優しさを見せようというのです。これを読んで私も思ったことがあります。それは、うわべの優しさも根本的な優しさも両面備えている男が良いに決まっているではないか、ということ。ならば、どちらも実践してやろうと思いました。
・大変じゃない理論
相手が話したことに対して「大変じゃない?」と言って、質問をする。すると、相手が自分の苦労する点について話してくれると思います。これは心理学でいう認知的不協和を活用したものだと推察できます。相手が自分の苦労話を語っているうちに、「あれ、私ばかっかり話してる?」と感じればしめたもの。自分ばかり話している状況に違和感ができてくるので、こちらも話をガンガンできるようになります。そして、相手がたくさん話している状況は相手の脳にとって気持ちいい状態だと思います。なぜなら、脳は自分の話をすることを気持ちよく捉える傾向があるからです。
・逆に理論
これはデートに誘うときに使える理論です。相手の言葉に対して「逆に~」や「逆にね!」と相槌を打つことで、自分の持っていきたい方向に会話の流れを手繰り寄せようとするものです。ザキヤマみたいな使い方をすると笑いの印象が強くなってしまうかもしれませんが、さり気なく入れても違和感のないワードなうえに、会話の流れを裏返しにできるので、使いやすいなと思いました。たぶんデート以外で自分の意図する方向に流れを持っていきたい場合でも使えると思います。
・わかるよ理論
本書ではお持ち帰りしたい際に主に使う説明がされていた記憶があります。これも恋愛に限らず色んな場面で使えるなと思いました。上述したように、人間は自分の思ったことを話すことで快感を覚える生き物です。それゆえに、会話が実は会話になっていないことがあります。例えば、「仕事がうまくいってなくて」と愚痴をこぼした後輩に対していきなり「モチベーションが低いからだろ」と言った場合、後輩は何がどううまくいっていないのか伝えていないのに具体的な改善をしようとするのは結局のところ自分の意見が言いたいだけです。それよりもまずは相手に同意して会話を成立させること。そして、相手に語らせること。わかるよ理論は相手の気持ちを引き出す魔法の言葉を教えてくれているのです。
もちろんこれまでの理論を含めて、同じ意味合いを持っていれば言葉に拘る必要はないのだと思います。
・ハードルアゲアゲ理論
これは私の周りにいるチャラ男が実践していたような気がする理論です。何をするかというと、「俺って〇〇がめちゃくちゃ得意だから、一緒に〇〇すると最高に楽しめるよ!のようなことを自分から言うわけです。お笑いだとハードルを自分から上げて自滅するパターンが多いのですが、これを活用すると、その行為自体に対する女の子の抵抗が下がるので、こちらから仕掛けやすくなるようです。ただし、常に女の子の期待を上回る必要があるので、すごく努力が必要な理論だと紹介されていました。ストイックな人は、成長にもつながりそうなのでおすすめでしょうかね?
最後に個人的に誰にでも使えそうな内容をひとつ。よく「空気を読め」と言われますが、空気を読める人は一体何をしているのか、ということが紹介されていました。一般論だと世間の常識を守れない人に対して、そのような言葉が使われていますが、本書の説明は一味違いました。ここでは、「その場で一番力を持っている人が喜ぶことをすることが空気を読むことだ」と紹介されています。私はなるほどと思いました。例えば、部長が出席する飲み会で、普段なら周りは避けるようなことでも、部長が喜ぶのであれば、周りは「助かった」「ありがとう」と声を掛けるかもしれません。もしかすると部長が狙っている女の子が同席している場合は、その女の子が楽しそうにしていることで部長が喜ぶかもしれません。このように常に人の関係図を意識して行動することが空気を読むということにつながるし、それはその場で力を持っている人を喜ばせるために必要なのです。もちろん、その後で周りに引かれてしまっては意味がないかもしれませんが、空気を読むということに一つの基準を設けてくれる意味で、私はこの考え方に救われまいた。