メンタリストDaiGo かんき出版 2015-01-21
さて、本書の冒頭で文章の持つ優位性が記されていた。それは以下のとおりだ。
・一度発信すればずっと働き続けてくれる
・イメージの操作が容易
・書き直せる
・結果を見直して微調整できる
よくよく考えると当たり前かもしれないが、やはりこうやって並べて見ると大きなメリットがあることに気づく。いま僕が書いているブログもこのメリットを享受しているわけだ。紙文化は急激に衰退しているけれど、ドキュメント文化が無くなるわけではない。永続的に保存可能な電子媒体に出会ったからこそ、これらのメリットを意識しなければならないのだと考えさせられる。
さて本書では「人を操る文章の三原則」が紹介されている。それぞれ以下に記したい。
①あれこれ書かない
相手に何らかの行動を促す文章なのであれば、全てのことをきっちり書こうとする必要はない。むしろ相手の想像力をかきたてて、思わず行動したくなるような文章を目指すことが必要である。ワンメッセージ・ワンアウトカムのためにも、誰が読む文章なのかを意識して書く必要がある。
②きれいに書かない
定型文をふんだんに盛り込んだ教科書的できれいな文章よりも、感情を揺さぶり、相手に行動を促す文章を書く必要がある。むしろ定型的な文章は、機械的で温かみに欠けるし、読む気力も失せるだろう。
③自分で書かない
これは何も文章をアウトソーシングで作成するという意味ではない。文章を読む人が自ら想像を膨らませて内容を補うような文章を書くことで、相手の行動意欲が上がるという原則だ。読み手に刺さる言葉は、読み手自身の中にある。充分に相手のことを調査して、その人に響く言葉を使用するのだ。また、この調査は文章を読んでもらう導入部分でも役に立つ。なぜなら、読み手にとって興味のないワードがない文章は、視界の中に溶け込んでしまうが、読み手に興味のあるワードが散らしてあれば、それは途端に興味を引くものに様変わりするからである。
以上の三原則を意識して文書を組み立てる。が、それに七つのトリガーを加えることで、より相手の行動を促す文章ができると記されていた。その七つのトリガーを簡単に紹介したい。
①興味
これはシンプルだ。相手の興味があることを文章に取り入れる。今の時代はSNSの発展で相手の情報をインプットすることが簡単になってきている。そのようなものはどんどん活かすべきだろう。
②ホンネとタテマエ
誰にでも理想と現実のギャップがある。しかし、普段はそのような本音を隠して建前で生きている。その理想と現実の間にある欲求を文章でタッチするのだ。もちろん、ただ単にそれに触れるだけでなく、どのような言葉で伝えれば、相手の欲求をうまく刺激できるのかは考えなければならないだろう。
③悩み
これもすぐに理解いただけるトリガーだろう。また、②と関連する要素も多いと思う。本書では人の悩みは大抵四つに分類できるとされていた。
Health = 美容、健康
Ambition = 夢、将来、キャリア
Realation = 人間関係、結婚、恋人、会社
Money = お金
この四つだ。これを相手の年齢に合わせると、なんとなく悩んでいることにぶつけることができる。
④ソン・トク
人は得すること以上に損することを恐れる。そのため相手には損しないことを強調する必要がある。保険のCMなどで、その側面が強調されるのは、この心理にならってだろう。デメリットについて説明するときも、先にデメリットを伝えたうえでメリット部分の説明をすれば、そのデメリットの部分がメリットを強調するために活きることもあるので、これらの特性を理解したうえで、デメリットの伝え方には細心の注意を払わなければならない。
⑤みんな一緒
「みんなが既に始めているという安心感」や「自分だけが乗り遅れているかもしれないという不安感」が相手に行動意欲を駆り立てる。そこに統計的なデータをうまく組み合わせてアピールすることができればよい。読み手が所属したいカテゴリやすでに所属しているカテゴリに繋がるメッセージを発すればよい。
⑥認められたい
人は誰しも承認欲求を持っている。相手の特徴を捉えて、相手の承認欲求を駆り立てる言葉で訴求する。
⑦あなただけの
人は数量限定よりも限定された情報に弱いようだ。だから「あなただけに」というメッセージに釣られやすい。また、人は元々持っていたものが規制・制限されると、それを欲する傾向があるようだ。なので、相手に対して、どのように情報を開示していくのかは戦略的に考えるとよいだろう。ただし、何でもクローズドにしていると、自分を公開しない人間になってしまいそうだ。そうなると相手からの信頼も薄くなってしまうので注意。その点は以下の書籍で記されていた返報性の法則などが影響している。
さて、七つのトリガーを理解したら、最後に5つのテクニックを駆使して、伝えたいことを書くだけだ。5つのテクニックは以下の通りである。
①書き出しはポジティブに
心理学で初頭効果というものがある。最初の印象が、後の印象に強く影響することを指したもので、一説によると持続期間は半年にも及ぶと言われている。ここでいうポジティブは、単に明るい文章を書けというものではない。感謝の気持ちを含んだり、物事を前に気持ちよく進めようとする気持ちを含んだ文章だと考えるべきだろう。
②なんども繰り返す
伝えたいことが一度で伝わるとは限らない。自分の伝える力だけでなく、相手の捉え方によっても伝わり方は変わるのだ。だから本当に伝えたいことは相手に何度も繰り返し伝えるべきである。その際、言葉や文章は色んなパターンに変化させるべきだろう。その方が相手の印象に残りやすい。
③話しかけるように書く
これは既に上述している内容と同じで、キレイなだけの文章を書かないようにしようという戒めである。一方で、人は文章よりも会話のほうが内容を覚えやすいという研究結果もあるようだ。なので、自分が伝えたいことを会話調にして、それを文章として整えることを本書ではおすすめしている。本書の中で例が紹介されいてるのだが、確かに流れるように文章を読めるので伝えたいことが直観的に理解できた。
④上げて、下げて、また上げる
これは脚本などの起承転結でも頻繁に議論される内容だろう。人は比較して、その落差で喜怒哀楽を判定していると僕は考えている。なので、文章でもその落差を意識して取り入れることで、相手の感情に訴えかけることが可能になる。ちなみに本書では、その落差を取り入れた戦法が使いやすいという理由で、ピンチな状態ほど挽回がしやすいということが記述されている。
⑤追伸をつける
人は達成されたことよりも、達成されなかったことを強く記憶しやすいようだ。これは意図的にそのような曖昧な余白を作りやすいことからおすすめされている。追伸部分に軽く書かれた文章を見て、それについて考えることで、自分送り手について考える時間ができるというのだ。
以上、本書に書かれていることと(わずかだけど)僕が考えていることをまとめた。このようにまとめてみると、いかにもあっさりした内容に思えるが、重要なのはこれを実践して自分の技術を磨くこと。そして、相手の特性をしっかり理解することだろう。
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