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ガール(奥田英朗)を読んだ感想・書評

 僕は奥田英朗の短編集が好きで定期的に読み返している。何度読んでも好感を覚えるのは、文章の持つリズムの良さだ。普通だったら辟易とするような妬み嫉みが行き交う心理描写も、そこまでクドいと思わない。むしろ次のシーンや会話を早く読みたいと思わせるための餌になっている。そんな餌や徹底的に削られた文量も相まって非常に読みやすい構成になっているのだ。

 本書は働く女性が主人公になっている。今から十年も前に執筆されている小説なのに、読んでいて全く違和感がなかった。僕の勤め先が典型的な大家族的な日本企業なので、そう思うのかもしれない。しかし、多くの男性は身近にこのような女性の影をがちらついているのではないだろうか。

 では、「このような女性」とは何か。奥田英朗の短篇集に登場する人物に共通している点があると思う。それは気の強さだ。誰も何らかの危機が差し迫ってきたとして、進むことを諦めない。奥田英朗の強気な姿勢がキャラに反映されているのかもしれないが、今の小説には意外とこのようなキャラが少なくて僕は読んでいて嬉しくなる。結末がどのように転ぶにせよ、このグイグイいく感じが読み手に爽快感を与えてくれるのだ。

 強気な女性が物申す姿は見ていてスッキリする。ねちねち相手に愚痴る人間が苦手というのもあるが、男性に比べると女性が相手を一刀両断する姿には嫌味がない。この女性特有の強みを活かして仕事している方もいらっしゃるのではないだろうか? もちろんこの女性の特権を使うことに躊躇いがちな方もいるはずで、本書でもその女性の葛藤が見事に描かれていた。今は社内にも様々な女性支援の制度があるだろう。一方で勝手のきかなくなった男性の不自由や、まだまだ焦点の当てられていない女性もいる。日本の企業政策はあっちむいてほいで動き出すものの、とりあえずやってる感じを出したり、実際の社員の声があまり聞き入れられていなかったりする。これからは政府が動き出す前に、職場単位や各企業単位で自分たちの社風にあった施策を考えていかないとなーなんてことを思いました。

 

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