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奥田英朗の伊良部三部作を読み終えた!わらった![レビュー]

 奥田英朗の精神科医・伊良部シリーズを読了しました。

 

 それぞれ感想を投稿していこうかなと思います。

 

イン・ザ・プール (文春文庫)

イン・ザ・プール (文春文庫)

 

 

※ネタバレを含む可能性があります

 

 まずは一作目の『イン・ザ・プール』です。二作目の空中ブランコほどではないんですが、この表紙がすきなんです。きれいなんだけど、それだけではない感じがして。ビビりの私は、当初この表紙を見て「よくわからんが、不気味に感じるし、絶対に買わない」と心に決めていました。もったいないことしてたなー。

 

 イン・ザ・プールには五作の短編が収録されていて、それぞれ独立して楽しむことができます。が、せっかく文庫で買うんですし(でしょうし)、一話から読むことをおすすめします。どの患者に対しても同じようなことを進言していたり、当初の謎の行動が後々明らかになっていく様は笑えます。バカだなー、と。

 おそらく、二作目以降では伊良部をちょっと賢くしていて、というか、まともに診察させている描写が少し増えているように思えたんで、やっぱり最初から読んで、作者の意図についても考えてみると面白いと思いますよ。

 

 イン・ザ・プールを読んでいて、私が感じたことがあります。それは、小説で笑いをとろうとすることの難しさです。

 奥田英朗はシンプルな表現に独特の言い回しや皮肉を展開することで、読者のちょっとした笑いを誘うのが非常に上手な小説家だと思うんです。

 このようなシンプルな表現で笑いを誘うのって、簡単そうに見えて、すごく繊細な作業なんだと思います。シンプルゆえに読み返したときに寂しく見えたりするかもしれないですし。また、文中で作者がしらけたり、内容に疑問を持ったりすると一気にそのテンポ感や笑いの種が意味を成さなくなってしまうと思っています。

 本書だと、「勃ちっぱなし」や「フレンズ」がそういう微妙なラインにあったかな、と思いました。前者は「ほんとうに?」とか「なんか軽すぎない?」と疑問をいだいてしまう描写が多かった。後者は、やり過ぎ感と小遣いの設定じゃあ話の内容分をカバーしきれないだろうという疑問。こういうのがあると笑いの度数がちょっと下がってしまう気がして、難しいなと思いました。

 それでも面白かったですし、笑いました。続編が出るところまで、この短編が続いたのには納得です。

 

次に二作目の『空中ブランコ』です。

 

空中ブランコ (文春文庫)

空中ブランコ (文春文庫)

 

 

 空中ブランコもテイストは同じ。非常に笑える小説でした。

 一方で、伊良部がちょっとだけ的確な診察をしているように思えました。偶然なのか狙ったのか、それとも私の勘違いは分かりませんが。それはそれで微妙に読み応えが違って面白かったです。だからといって、伊良部が普通のお医者さんになったのかというと大違いで、そこは前作らしくハチャメチャに暴れてくれていました。

 個人的には「空中ブランコ」と「義父のヅラ」がほんとうに面白かったです。わらったわらった。私はこれを読んで、高校や大学でやったようなイタズラの数々を思い出しました。よくよく考えると私は根っからのいたずらっ子で、人にいたずらしては笑わせるのが大好きでした。そして、そういう人ほど、自身に被害が及ぶのを避ける気がします。というか実体験ですが(笑) 

「義父のヅラ」でも意図せずしてかもしれませんが、そのような心理的な動きが見られたことがよかったと思います。

 『空中ブランコ』はバリエーション豊富な患者層で、読んでいてとてもおもしろいです。直木賞を受賞しているのも納得の作品だと思うので、ぜひ。

 

町長選挙 (文春文庫)

町長選挙 (文春文庫)

 

 

最後に三作目の『町長選挙』です。

 本書も同様に伊良部が好き勝手やってくれます。が! 主人公のような役割を担っている人物に明確なモデルが存在していることが、読者にも簡単に理解できます。

 セリフとかもそのまんまなんですから、そりゃあ分かりますよね(笑)

 私はそれが、あまり好みではなかったです。ここまでリアルだと、、、しかも時間がたってもなお一線にいるんですよね。この人達。もうイメージが固まってしまっていたので、それがいけなかった。つまり、これは人の好みで、どう受け取るのかはその人次第です。

 

 

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