本を読むこと-読書から何かを学ぶためのブログ-

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こころ(夏目漱石)を読んだ

こころ (集英社文庫)

こころ (集英社文庫)

 ここ数日、訳有で仕事を休んでいる。1日の軸に据えられている仕事をする必要がなくなると、自分が疲れていたことを実感する反面、何か自分を奮い立たせるものが消えたような感覚も覚えた。何かしなければいけない。そう思い読まずに積んであった本を手に取った。その中に夏目漱石のこころを発見した。僕は本書が大好きだ。高校の授業で取り上げられたことがキッカケだが、それ以来幾度となく読んできた。
 本書の良さはいくつもあると思うが、何よりもその文体が好きだ。文量はある方だし、心理描写に重きをおいているので、内容的にはしつこさが伴ってもおかしくない。それなのにすいすいと読み進めることができるのが、以前から僕は不思議に思っていた。一方でテーマ性をみると、現代でも十分に通用するものばかりだ。人間が持つ寂しさやエゴがこれでもかというぐらいに描かれている。そして何よりも人間が人に冷たさを見せる瞬間や暴力的な行為(実際的な暴力ではなく)を振るう描写にとても共感してしまう。簡単な一言を避けて、相手や自分を窮地に陥らせるような一言を選んでしまうのはなぜなのか。客観的に疑問を抱いても自分がいざその立場になるとその振る舞いをしてしまう。世界を動かしているのはこのようなどうしようもないプライドのようなものなんだと思う。
 そういえば中村文則の銃では武器を持つことや意志以上に、わずかなキッカケが殺しを促すような描写がある。僕はそれにも近しいものを感じた。
銃 (河出文庫)

銃 (河出文庫)

こころ (集英社文庫)

こころ (集英社文庫)