コピー1枚とれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術(Shin)を読んだ感想・書評
社会人の基礎力として大切なロジカルシンキングだと思います。中でも本書は、読みやすさと実践のための方法が丁寧に書かれている良書です。
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調べる技術・書く技術(野村進)を読んだ感想・書評
自分は何者なのか。なぜノンフィクションを書くのか。この二点だけは、若いうちに突き詰めて考えておこう。その答えはたいてい、自分の出自や生い立ち、なかでも思春期までの体験に求めれられるはずだ。それを、以前は、「原体験」と呼んだ。
限られた体験が、原体験になり得るのかはさておき。一つのコンテンツを作り上げようとしたとき、そこには強烈な原体験が伴っていることは多いだろう。そもそも文章は伝達方法のひとつで、何かを伝えたいと思うからこそ必要になるものなのだ。自分にとっての原体験は、その時々で変わるかもしれないが、自分を書くという行為に突き動かしたそれを忘れないようにしたいものだ。
このような強烈な原体験(きっかけ)を経て作られるコンテンツには、テーマが設定されることが多いかもしれない。私もブログを投稿するときは、なんとなくテーマを頭に描いていることが多い。そんなテーマ決定時のチェックポイントが記されていたので、それを下記にまとめる。
①時代を貫く普遍性を持っているか。
②未来への方向性を指し示せるか。
③人間の欲望が色濃く現れているか。
④テレビなどの映像メディアでは表現できないか、もしくは表現不可能に近いか。
⑤そのテーマを聞いた第三者が身を乗り出してきたか。
これらのチェックポイントをすべて満たすようなテーマ設定は、もしかしたら難しいのかもしれない。しかし、時代を超えて今も世に影響を与える名著には、このような特徴があることも事実だ。自分が真剣に取り組み、世に伝えたい文章があるのであれば、このポイントを意識することは、大切になるかもしれない。
だがしかし、テーマに囚われすぎるのは愚の骨頂である。なぜならば、結局のところ、読み手にテーマを伝える役割を持つのは、そこに登場する人だからである。あまりにテーマの存在にこだわりすぎた場合、そのテーマが人の動きを縛ることになってしまい、最悪の場合、登場人物が決められたルートを演じるような動きをしてしまうことがある。そのように書き手の意志が如実に表れた登場人物の動きを見ても心に響くものは少ないのではないだろうか。結果的にテーマの訴求は十分になされない可能性がある。
さて、本書はノンフィクション作家の仕事術を記した一冊である。このブログでは、本の感想を扱っているわけだから、中々人に会うことはないのだが、ノンフィクションを書こうと思うと人の語りが中心にくることも少なくないだろう。そこで著者は、人に会う前に可能な限り情報収集して行くことを大切にしている。これは、聞きたいことの的を絞るためにも当然の準備といえるだろう。しかし、これは人の印象操作にも関与してくるというのが、著者の意見で、それは私に欠けている考え方であった。どちらかというと私は、円滑に仕事を進めるために事前準備をしたいタイプだ。とにかく行動する前に一度簡単な計画を練っていかないと失敗の仕方が大きく、意味のないものにない可能性になる。著者は、これに加えて相手に対する印象操作に情報を使っているのだ。経済学でもそうだが、情報を持っているものは、やはり強い。今は、簡単に概要が調べられる世界になっている。その概要の先の経験を手にするためにも事前準備は怠らないようにしたいものだ。
そして最後に、個人的に最も印象に残った言葉について記述したい。
○これは訊かないほうがいいのではないかという質問がある。インタビュー中に思い浮かぶ場合もしばしばある。このことを尋ねたら、失礼ではないか。先方の気分を害するのではないか。いや、それどころか相手を激怒させはしまいか。
そのようなためらいを抱かせる質問があったら、どうするか。
必ず訊くことだ。これは強調しておきたい。ひるむ心を奮い立たせて、必ず問いかけることである。
当たり前の質問。誰もがする質問ではその人なりの記事を書くことなんてできないのだ。相手を本気で考えさせたり、感情を奮い立たせるような言葉を引き出したりした際に、特別な記事が生まれるのだ。私は、その瞬間を想像すると怖いと思った。なぜ、何のために、と自分を嫌悪しながら記事を書くことになるかもしれない。そんな勇気の一線を乗り越えた先に、光る記事と、人の呼応が生まれるだろうか。
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