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コンビニ人間(村田沙耶香)の書評・感想

 芥川賞を受賞し、アメトーークで取り上げられることで爆発的に人気が加速した「コンビニ人間」を読了した。

 

コンビニ人間

コンビニ人間

 

  

 主人公は十六年間、オープン時から同じコンビニで働き続ける女性を主人公として据えている。彼女は幼少期から人と違う感性を備えていたことを悩み、というよりは疑問に感じていた。周囲の人間は直接的に問題を解決しないから、代わりに彼女が請け負うのだが、その行動は周囲から大きくズレた行動だった。そのズレた行動を見た周囲の人間の反応を僕はよく知っている。自分がそれをよく見ては嫌悪してきた過去があるし、自分自身がそのような行動をとっていることもあるのだろう。

 主人公はとても受動的な態度で社会や人と対峙している。だからだろうか、彼女の中に自殺という考えはない。コンビニとの関係が絶たれた後もどうやって過ごしていけばいいのか、自然的に死ぬまでの時間の中身に充てるものがない彼女は悩む。彼女が主体的に関わることができるのはコンビニを媒体としたときだけだ。僕はこの感覚を少しだけど知っている。音楽やスポーツを通して何かを表現することはできても、ステージやピッチを離れた途端に思ったことを口にすることができなくなる。主人公を引いた目で見ている人間たちは媒体に「結婚」や「就職」を選んでいるだけではないか。それは主人公の考えよりもより抽象的だし、大きな流れに身を任せることで安心しているだけにしか思えない。もちろんそれは悪いことではないのだが、主人公の生き方を馬鹿にする権利はないはずだ。助言ならまだよいが、相手の意見や考えを聞いてもいないのに、開口一番で生き方の提言をするような人間を僕は嫌う。自分から望んでいるのならよいではないか。僕はコンビニ人間を肯定する。

 

コンビニ人間

コンビニ人間