堀江貴文,西野亮廣 徳間書店 2018-10-26
まず皆と同じことをするバカに対して西野さんが一石投じている。なぜ皆と同じことをすることに価値がないのか。それは様々な本で論じられていることだが、ここで挙げられている理由は、僕的にかなり新しくて真っ当だった。それは皆と違うことをすれば成功確率が50%になるというものだ。理屈は簡単で、例えその場に10人いたとしても意見や手段が同じであれば、自分を除いた9人と異なる意見の自分1人という二つの集団に分けて考えることができる。その場合、二つの集団が持つ勝率は同じだ。しかも、こちらは1人なのだから勝った場合の抜け方が大きい。なるほど単純に同じことをしていても変化は生まれにくいと考えるだけでなく、勝率の観点からも考えることができるのは、実際に行動している人だからこそだ。
それに皆と同じことをすれば良いのかは常に自問自答して考えなければならない。
皆とレールに乗るのは気持ちいいが自分の目的を達成する手段としてベストとは限らないからだ。本当に自分がしたいことは何か? 自分が今努力しているこの場所は、目的に沿った場所なのか? これらを重点的に考える必要があるだろう。
これは前著でも西野さんが述べていたことだが、勝ち馬が作ったレールに乗ったところで、最も得をするのは勝ち馬だと決まっている。西野さんはひな壇芸人として売れようとしたが、その枠の中で頑張っても評価されるのは、その番組を作り上げている司会者だ。それでは一番の芸人になれない。だから西野さんは闘い方だけでなく、闘う場所も変えている。
このような考え方を知って「それくらい我慢しろ」と言ってくる人が必ずいる。僕もしょっちゅうこういう人に出会う。でも、我慢すると本当に自分がやりたいことが何かわからなくなってくる。副業の解禁が叫ばれてまだ日が浅い。Twitterを見ていると自分が好きなことに熱中して注目を浴びている人をよく見かける。今の時代は我慢すること以上に自分を突き動かす本当にやりたいことをやることが評価を得るポイントになるのだろう。そうして集めたポイントは換金可能な資産になる。だから自分がやりたいことを、社会の目を気にして我慢する必要はないと思う。どんどん実行してブラッシュアップしていこう。
ただ、これは目の前の仕事から逃げ出せと言っているわけではないと思う。好きな仕事にしたって面倒な作業は発生する。これをアウトソーシングしたり、自分でこなしたり、うまく解決する道を探るのも実力のうちだろう。そもそも堀江さんは、与えられた仕事ならどんなものでも楽しんで改善できると断言する人なのだから。
ここまでは前著でも書かれている内容だと思う。個人的に一番面白くて、新しい発見だったのは、クリエイターの変化球について書かれていた箇所だ。どういうクリエイターかというと、飽きを理由に新しい風を吹かそうとするクリエイターだ。
例えば、何かひとつのヒット作品を生み出した小説家がいるとする。その小説家はヒット作のプロットを転用して売れ続けることができていたが、ある日、このまま同じような作品を世に送りだしていいのかと思い、全く新しい作風の小説を出版し、それが売れなかった。この場合、新しい挑戦をしたことに対する賛美はあれど、自分の作品に対する飽きで、カスタマーの気持を無視したことには疑問が投げられる。これまで
応援してきたファンからすれば、とんでもない変化球が投げられていた可能性があるのだ。
この対策は難しいが、変化を求める場合は、作品自体に導線を設けて少しずつカテゴリを移動してみたり、新しい挑戦に取り組むプロセスをSNSで売り出して、ファンを共犯者に仕立てあげればよいのではないかと僕は考えている。
それでもこのような変化に挑戦できること、それに対する反省ができることは素晴らしい能力だと思う。色んなバカが書かれている本書だが、簡単に要約してしまうと「行動しない、思考停止の人」をバカと呼んでいるのだと思う。だから、自分が変化するために制約をかけて、思考し、行動することが大切だと僕は感じている。そのために友人に宣言したり、SNSでそのプロセスを披露し続けようと思う。最も恐ろしいバカは、本書を読んで「ほんとこういう人ってダメだよな」と蔑むだけで、何もしないバカだと思う。だから、小さな一歩でも僕は行動したいと思う。
〇読後のおすすめ
西野さんの著作で必ず読んでほしいのがこちら。物を売ること、信用を勝ち取ることに関して、これだけ丁寧に書かれた書籍は中々見当たらないと思う。
堀江さんの著作を読む前に必ずこれを読んでほしい。彼の行動を理解できない人には特にだ。
堀江貴文,西野亮廣 徳間書店 2018-10-26