ロバート キヨサキ 筑摩書房 2013-11-08
近年、ビジネスの考え方に大きな変化が起こっているように思える。その一端を担ったのがGoogleだ。彼らは、まず第一にユーザについて考える。自分たちが世の中に与えたい価値とは何か、ユーザにどのようになってほしいのか……。この考え方は至極当たり前のものだ。しかし、緻密に練られた事業計画を前にすると、この考え方は影をひそめることもしばしば。それが、Googleのような企業の出現で大きく変わった。その背景にはマネタイズのタイミングに大きな変化が起こったことも影響している。最初は無料でユーザを集めてフリーミアム戦略や取得したデータの利活用によって新しいビジネスモデルを構築する企業の出現により、株主サイドも目先の利益で判断しないようになったのだ。
私は、この考え方が大好きだ。お金に左右されず、自分たちが叶えたいビジョンと、ユーザの価値に重きを置いている。VCの出資体制なども今までの比ではないくらい整いつつある。世の中の企業は、この流れに逆らう必要なんてないじゃないか。しかし、これは先述したとおりマネタイズのタイミングをずらしているだけに過ぎない。Googleだって当初は身売りを考えたし、今は広告という安定収益の柱を獲得している。
やはりお金は大事なのだ。
そんな当たり前のことに気が付いた。そして自分の生活に目線を落としてみると、自分が何も考えずにお金を使っていることに気が付いた。私は自己投資にお金をふんだんに使う。必要だと思った本などは躊躇うことなく購入する。だから、給料を得て、それがそのまま支出として流れていくことの繰り返しだった。
本書の大いなる教えのひとつにお金の使うタイミングに関する示唆がある。今の私は、収入を得る→使う、この流れだ。本書では、収入を得る→資産を得る→収入を得る→お金を使う、この流れを推奨している。資産とは、株などを指す。資産で得る収入が、給与などの従業員としての収入を超えないのであれば、完全に自立した稼ぎを持っていないと本書では警告する。従業員としての働き方だと給与に上限が出るという問題もある。そうなると自由なライフプランは立てにくい。
この自由というワードは本書のキーワードで、先ほど述べたのは金銭的な自由に対する指摘だ。もうひとつ自由ような指摘があって、それは時間的自由に関する。資産を得て、そこから収入を得る体制ができたとする。それは一体どのような状態を指すだろう? 本書ではこれを「お金がお金を稼いでくれる状態」と表現している。つまり自分でなく、お金が働いているのだから、時間的にも自由ができてくるというのだ。全くもってその通りで、なんとなく株がいいとか、FXや仮想通貨が儲かるらしいというけれど、それらの資産が本当にもたらしてくれるものを理解できている人は少ないのかもしれない。
そして、個人的に最も印象に残ったワードが「それをどうやったら買えるか、考えるんだ」である。個人の消費でもいいし、会社としての取り組みの中でもいい。いつの間にか自分の現状のリソースに倣って、目標を決めている瞬間がないだろうか。そんなときに給与が溜まるのを待つだけでなく、どうやったら買えるのか、別の選択肢を考えみるべきだと思った。
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ロバート キヨサキ 筑摩書房 2013-11-08
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