『SOSの猿』を読んでいるとFBのトリコロール問題について少し考えてしまいまし[レビュー]
SOSの猿(伊坂幸太郎)を読了したので、その感想を投稿したいと思います。
この本を手にとって、しばらく読み進むているうちに感じたことは、「あれ、伊坂幸太郎ってこんな話も書いてたんだ」というようなことです。
二つの話がどうつながってくるのかはともかく、『猿の話』のファンタジー感に圧倒されてしまい、かなり挑戦的というか、試験的なことをしてたんだなあ、と思いました。
そのまま読み進めていると、『猿の話』が、実はそのまんまファンタジーだったことが分かります。それが判明したときに、その内容について思い返してみると、これがかなり面白い! 引きこもりの彼は一体何を考え、どんな物語で自身の空虚ややりきれない想いを埋めようとしていたのかが分かるからです。
その物語を現実にすべく、半年後に行動を起こした眞人少年。事件の騒動で、隣部屋の証券会社社員を寝不足にして、ご発注を起こすとか、さすがに無理してません? と正直最初は思いまいしたが、そもそも小説はそのような出来事を発生させることが可能なんですし、そのような作用で問題が起こっても不思議じゃない世界に生きているんだ。
これを疑ってしまった時点で、私は品質管理部には向いていないということか(笑)
原因と結果は突き詰めていくと果てしないものであり、どのような作用で問題が起こっているのかなんて、想像のしようがない。だからこそ、柔軟に物事を考えて、どのような可能性も疑わない。一方で、結果に最も影響を与えたと思うものを、順に挙げたりして意見交換、こんな簡単なことが重要になってくるのに、ついつい忘れてしまします。
ただ、これが犯罪とかになると、もっとややこしくなるんですよね。この小説が発売されてから、数年経っていますが、これらは結構置き去りにされている部分も多く、まだまだ考える余地は残されています。
このように、犯罪とか社会的な出来事と照らしあわせて本書を読み進めていると、どうしても思い出していしまったのは、パリでの同時多発テロ事件です。
それと一体何を繋げて考えたのか。私はフェイスブックのトリコロールカラーのプロフィール画像が非難されていた問題です。
全ての意見を吸収してはいないので、あまり大きな声で意見を言えないのですが、私はある投稿に目がいき、いろいろと考えました。簡単にまとめると、「世界では同じような事件や戦争が起きているのに、パリでのテロ事件にだけ、トリコロールカラーのプロフィール画像を使うことで、意思表明をするなんて間違っていないか?」というようなものです。
真っ先に私の意見を伝えておくと、これは間違っていないと思います。一方で、正しくもないないとおもいます。
私はSOSの猿の、このやり取りが好きなんです。
ロレンツォの父親はある時、こう言った。「悪魔が相手に憑いているのか、憑いていないのか、そしてわたしがやっているこの儀式が悪魔を現実に祓えているのかどうか、それは分からない。が、あまりに悲観的になる必要はないと思っているんだ。なぜなら」
「なぜなら」
「なぜなら、家族以外の第三者が、利害関係のない誰かが、『良くなりますように』と祈ることは、誰かを助けたいと思うことは、ひどいことではないはずだからだ。悪いことではない」
「効果がなくても?」
「そう。良い効果はなくても、悪い効果があるわけではない」
これもトリコロールカラーの問題と近いものを表しているとは思いませんか?
悪いことではないと思うんです。祈ることは。
確かにあの画像一つで、日本が新たなターゲットに、、、なんてことになれば、あまりにも大きな問題につながりますし、そこまでは私も考えきれません。考えの放棄なんてよくないと思いつつも。
しかし、今回の問題に関して私が取り上げたいのは「他の国でも、起こっているんだ。他の国について考えないで、偽善ぶるな」という意見を投稿しているような人たちについてです。
この地球上で起こっている全ての問題について私たち一人ひとりが注意を払って、何か行動を起こすなんてことができるのだろうか。と私は思うんです。もちろん、しっかりと考えて、行動して、という風にできる人は尊敬します。
ただ、全員が実行するというのはあまりにも無理がある。でも、そんな人たちでも、目の前に広がり始めた問題に対して、考え、祈ることはできる。その意思表明がトリコロールカラーにあらわれているのなら、単に祈ることは、少なくても自身が知ったことに対してだけでも祈ることは、悪いことではないんじゃないだろうか?
私は目の前にある問題に対して、少しでもいいことをしようとする人がすきです。今回のフェイスブック上でのことは、人数が多い上に、政治的思想なんかがつきまとってきて余計に難しくなっている気がします。
私は単純に、目の前に、マスコミを通してでも伝わってきた心痛むできごとによって命を失った人に祈ることや、これ以上同じようなできごとが起こってほしくないと祈ることには、素直に肯定できる人間でありたいなあと思っています。トリコロールカラーを上記の理由から非難した人だって。平和を祈っているんですから、目的は一緒じゃないですかねえ。
↑SOSの猿と対になっている作品ですね
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