「チルドレン」伊坂幸太郎が本書に隠した想い。[レビュー]
チルドレン(伊坂幸太郎)を読了したので、その感想を投稿したいと思います。
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※ネタバレを含む可能性があります
第131回の直木賞候補にもなった作品「チルドレン」です。
これは10年以上前の作品で、読み進めていると、今の伊坂幸太郎の土台となっている作品であることが分かります。短編を基本とすることで、パズルを解くように読み進めることを可能にする、伊坂幸太郎お得意の手法ですね。
実際に読んでいると「あのときの、あの話はそういうことだったのか」と理解できるように構成されています。一方で、タイム感が掴みにくくなるので、少し混乱してしまう人も出てきてしまうかもしれません。一話毎に楽しむことが可能なので、あんまり考えずに一話読み切りのスタンスで臨んでもいいかもしれません。
本書では「犯罪を起こした少年(ちなみに少年犯罪においては、女の子でも少年と呼びます)を更生することなんて奇蹟みたいなもんだ!」と言い張るオジサンに対して、「その奇蹟を起こすんだ」一蹴するような家裁調査官、陣内が中心となって話が進みます。
短編ベースですが、学生時代と家裁調査官時代の二つの時代をベースに交互に話しが展開していきます。
本書の中で、最も伊坂幸太郎が大切にしているんだろうなあ、と感じたことは、犯した罪と向き合うことです。それでも、エッセンス的に散りばめられていることが多かったのは、現代では中々、それらを直接的には伝えることができないからなんでしょうかねえ。
現代ではTwitterのような短文のメッセージを投稿する機能が充実しているので、簡単に大切な想いを世界に向けて発信することができる。一方で、そのメッセージがあまりにも簡単すぎる嫌いがあるのではないかなと思います。
なんとなく知った気になって、満足していることが多いんです。しかもリツイートすることで、「自分はこのメッセージを理解し、周囲に発信している」なんて思い始めたら厄介なんじゃないだろうか、、、そんなワンクリックで誰もが140字に隠されたメッセージの意味を本質的に理解できれば苦労しないよなあ。
こんな風に書くのは、おそらく自分もこういう人間だから、です(笑)
本当はそれを見て、どう思ったのかを書くこと、伝えることで初めて理解に繋がるんではないでしょうか。
今回はTwitterを例に出していますが、Twitterでリツイートをするなら、せめて引用リツイートにしてみれば、何かに対して自分の意見を持つ、そして理解する力の増進に繋がるのかも。
あんまり、作品と関係ない内容でごめんなさい(笑)