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陽気なギャングの日常と襲撃(伊坂幸太郎)を読了したので、感想や書評[レビュー]

 『陽気なギャングの日常と襲撃』を読み終えたので、感想を投稿したいと思います。

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)

 

 

 

*あらすじ

嘘を見抜く名人は刃物男騒動に、演説の達人は「幻の女」探し、精確な体内時計を持つ女は謎の招待券の真意を追う。そして天才スリは殴打される中年男に遭遇―天才強盗四人組が巻き込まれた四つの奇妙な事件。しかも、華麗な銀行襲撃の裏に「社長令嬢誘拐」がなぜか連鎖する。知的で小粋で贅沢な軽快サスペンス!文庫化記念ボーナス短編付き。

 

 この作品は『陽気なギャングが地球を回す』の続編になっています。

 また、各キャラが活躍する短編と、それらが微かに影響する本編に、特典の短編と三本立ての内容になっています(文庫本)。

 

・感想

 話しの内容自体は面白いと思いますが。少々、キャラの能力を活かしきれていないようで、「他のキャラでも話進められるんじゃ?」と何度か思いました。ただ、それでも買って損した、とまでは思いませんでしたし、終盤まで楽しんで読むことができました。

 それ故に、キャラがもっと活かされていれば、「もっと読み応えがありそうだなあ」と思える作品でした。

 ただ、響野に対するいじり方が進歩していたので、前作を読んで響野のキャラを好きになった方には、ぜひこちらも読んでみていただきたいです(笑)

 

・個人的考え

 個人的に気になったやり取りが作中にあったので、それを取り上げてみたいと思います。

 それは、響野と藤井のやり取りです。

 

「愚かな犯罪者」というのは、自分の罪を隠そうとして、無理なことをやるもんなんだ。堂々と構えていればいいものを。あれを知ってるか?『ガラスの家に住む者は、石を投げてはいけない』という諺だ」

「聞いたことないけど」

「ガラスの家に住んでいるやつが、石を投げてみろ。投げ返されて、自分の家はすぐに粉々だ。弱みを持っている人間は、相手を批判してはいけない。逆に、批判される可能性があるぞ、という戒めなわけだ」

「へえ」

「ただな、私は思うんだが、ガラスの家に住んでいる者ほど石を投げがちなんだ」

「どういうこと?」

「自分の弱みを隠したいばかりに、余計なことをやってしまいがち、というわけだ。人間の心理としてな。だから、この犯人たちも何もしなければいいものを、わざわざ屋上で騒ぎを起こしたりして、結果的に、全滅だ。後ろめたいやつほど、理屈に合わないことをやる」

 

 私はこのやり取りを見た時に「あぁ、自分が頻繁にやってしまう、あれか……」となりました。もちろん犯罪ではなく、ビビリなのに人を驚かせるのが好き、とかの程度ですがね。

 この心理っておそらく、その人がそれを恐れているからこそ、ついつい他人に対してやってしまうんだと思うんです。ガラスの家に置き換えるなら。ガラスの家に石を投げ込まれることがどれだけ恐ろしいことなのかを知っているからこそ他人に対してもやってしまうんです。私の場合は自分自身がビビリで、人に驚かされやすいポイントや恐怖を知っているからこそ、それを活かして人を驚かせてみたくなるし、自分が『驚く側ではなく、驚かさせる側にいるんだ』ってことを、周りや自分自身に信じこませたいんだと思います。一種の防衛本能のようなものではないでしょうか。

 結果的にこんなことをする以上に有効な防衛の仕方って絶対にあるよな、ってのは時間が経たないと分からない場合がほとんどですよね。それでも、このことを少しでも思い出して、自分に不利なことを少しでも相手に連想させてしまうバカな行為は卒業しようと決意しました。