伊藤 羊一 SBクリエイティブ 2018-03-14
突然だが読者の方に一つ質問がある。
「あなたはプレゼンで求められることが何か理解しているだろうか?」
答えは「聴き手の行動を促すこと」である。
本書でもこの部分は極めて強調されている。よくある誤解として「理解してもらうこと」があるが、それ自体はプロセスの一つにすぎない。理解して、自分が思うとおりに行動してもらうからこそ、プレゼンの場を設けるのである。
本書の主題もそこにある。タイトルは1分で話すことを強調しているが、それはプレゼンの目的地や組み立て方、話し方(伝え方)という基礎的な要素を確実に組み合わせて、1分で伝えられることができるレベル感で整理されていれば、素晴らしいプレゼンになりうるという可能性を伝えているのだ。
■本書をおすすめしたい人
・仕事でお客様に提案する機会が多い人
・仕事で上司に説明機会が多い人
・発表する際に何をどう話せばいいのか悩む人
■おすすめポイント
本書は基礎的な内容がしっかり、でも読みやすい内容量で書かれている。なので、下手なプレゼン研修を受ける前に一度これを読んで実践してみるのが良いのではないかと思う。
例えばロジックツリーを使った主張のプレゼン方法もしっかり書かれている。
ロジックツリーとは、自分が伝えたい主張を一番トップに置いて、それを支える根拠を三つ、その主張に連なるように書く。その後、その根拠を示す例示を各根拠に対して一つずつ考える。プレゼンする際は最初にその主張を述べて、その後、各根拠と例示を順番に伝えると自分の主張が伝わりやすくなるというフレームワークだ。
本書でも、その辺りの基礎的な学びは充実しているし、チェックリストもあるので、自分のプレゼン前にそれを見返してみるのも良いだろう。
個人的に他にも良いと思ったのは、意外と根性論のところが丁寧に書かれていることだ。例えば、「自分の頑張りを根拠として話す必要はない」とか「アフターフォローも根回しも、やれることは全部やる」とか。後は「自分がその事について一番詳しいし熱量を持っていて好きだという気持ちでプレゼンする。それくらいの気持ちでなければ人は動かない」というのも好きだった。
要は、プレゼンというのは「行動を促す一つの手段」で、その目的を達成するためには何でもやる意気込みが人を動かすのだと伝えたいのだろう。僕はこの考え方が大好きだし、実際に数多くのプロジェクトを動かしてきた著者だから響くのだろう。
「本当に自分は持てる力を出し切ってプレゼンできているのだろうか?
そんな風に疑問を感じた方やプレゼンで悩みを抱える方は、ぜひ本書の購入を検討してみてください。
↓本書の内容を更に深堀する記事をnoteで書いています。よろしければご覧ください。
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伊藤 羊一 SBクリエイティブ 2018-03-14