※ネタバレ注意
かなりライトなタッチで物語は進むが、人の欲求や感情的な側面を全く蔑ろにしているわけではないので、そのライトさはむしろ読み進めやすさとして機能していた。時折ある人物紹介も、場を理解するのに役立って助かった。かなり読者ライクな作品になっているだろう。
だから、これまで推理小説のハードルを高く見積もっていた人でも読んで楽しめる作品になっていると思う。
個人的には、幻想的なフレームにとらわれずに、作者が好きなことをワクワクして組み合わせることで生まれた作品なのだろうと、この作品を見ている。本当のクリエイターというのは、こうやってわくわくすることをとにかく積み重ねていける人のことを指すのだろうなとも思った。
僕たちも余計なフレームに目をとられずに、自分たちが大切にしたいファンのために、何ができるのかを一生懸命考えて、実践していく必要があるのだと思う。
仮に僕が編集者でこの作品に出会ったら絶対に最高の形で世に出したいと思っただろうな。新人賞の作品として送られてきた本作を初めて見た編集の方々のリアクションを考えるとおもしろい。
本作は、第二作と映画化が既に決定している。それも僕は非常に楽しみだ。