※ネタバレ注意
本書が設定している目的も僕の考える目的と合致している。それは『本を能動的に読むことで、地頭力と読み込む力を身につけること』である。決して分かったふりをするのではなく、しっかり理解して、自分から本と向き合うことを求めている。
■貴方はその本から何を学ぶのか?
本を読む際には、自分がその本から何を学ぶのか設定する必要がある。カクテルパーティー理論をご存知だろうか? きっとその理屈は皆さんご存知のはずで、自分が興味のあるものや自分に関する話だけ、喧噪の中でも浮遊して聞こえるという有名な理論だ。僕たちが本の目的を設定すべき理由はこれだ。自分が設定した目的に関する文章への感度を高くして、自分の学びを効率化するためなのだ。
じゃあ、どうやって本から学ぶことを決めるのか。
そこで役に立つのが、本のタイトルや装丁、目次の内容だ。そこには本のエッセンスが溢れている。それらから、その本で学ぶことができる内容を想像して、自分がどのようなことを得たいのか仮説を立てるのだ。もちろん仮説が間違っているとわかったら、その都度修正すればよい。
仮に過去に読んだことのある本を再読する場合は、過去に読んだ時とは違う目的を設定して読むとよい。そうすることで、これまでとは違う学びが、その本から得られるかもしれない。
そうやって目的を設定したうえで、論旨と例示を整理し区分けしながら読み込んでいく。これを実践すると要約力が身につく。それに、こうやって読むことで自分が学ぶべきポイントが書かれているかどうかを判別しながら読めるので、(自分にとっては)無駄なページをカットして読み進めることができる。
■記者になり、本と対話せよ
貴方はどのように本を読んでいるだろうか?
もちろん文字を目で追っているとは思うのだが、ここで質問している意図は、貴方が読書するときのスタンスである。
冒頭にも記載されているとおり、本書ではとにかく能動的に読むことを求めている。だから、ただ文字を追うことは許されない。そこで提案されるのが、記者読みだ。メモを取りながら読み、疑問や質問を考えることを求める。
疑問と質問。この二つは似ているようで大きく異なる。質問は著者の問いに沿った問いを立てることである。なので、その本の中で答えが見つかることが多い。文章は、著者の立てた問いから、その答えへ遷移していくことが多いからである。疑問は、自ら問いを立てることである。その答えも、自分で考え出すことになるだろう。ここで完璧な答えを出そうとしてプレッシャーを感じる必要はない。ここでは考えるプロセスと答えを出すアウトプットが学びになるからだ。
それでもプレッシャーを感じる人は、本書で提案されている検証読みを試してみるとよい。
検証読み自体は、上記のような事例と関係なく試している人も多いと思う。具体的には類似の本を二冊以上並行で読むことを指す。そこで共通点や相違点を探し出すことができれば、著者によっての思考性の違いや、業界普遍的なことの理解が可能になる。こうやって多面的に思考する癖ができていくのだ。
これらの内容は全て姿勢の問題だ。本書ではこれを実践的にするために付箋を使うテクニックも紹介されている。僕はTrelloというツールで似たようなことをやっているので紹介していないが、興味のある人は本書を通して実践してみてほしい。