2017-12-11 3年でプロになれる脚本術(尾崎将也)を読んだ感想・書評 小説 3年でプロになれる脚本術 posted with ヨメレバ 尾崎 将也 河出書房新社 2016-11-29 Amazon Kindle 楽天ブックス 例えば本書で挙げられている脚本を勉強する方法のひとつが、面白いと思った場面がなぜ面白いのかを考察することだ。本書ではそれをカードに書くことをおすすめしているが、とりあえず自分なりに考えてみるだけで無理に書き出す必要はないと思った。大事なのは書くことではなく自分なりの解を持つことである。そして、より深く整理するために書くのも良いだろう。幸いにもわたしたちにはブログのようなツールがあって、自分の考えを世界に発信することまで可能である。わたしはそのときに対象のもの(わたしの場合は本に偏ってしまうが)を三行でまとめるということを文中でしたい。これも本書でストーリーの理解を確認するために推奨されていることだ。これはカズオイシグロが執筆前に自分が最も書きたいことを整理するためにしていることでもあるので、わたしも挑戦して自分の手に取った本がどんなことを伝えようとしていたのか、自分なりの意見をまとめるようにしたい。 最後に本書のストーリーの捉え方で印象に残ったことを二つ記したい。まずはストーリーの起点について。ストーリーをどこから始めるかというのは書き手の抱える問題のひとつだろう。頻繁に見受けられる誤りのひとつが因果関係の最初からストーリーを展開するものだそうだ。全てをきれいに描く必要はない。何か問題が起こるストーリーであれば、最初にいきなり問題を起こしてもいいのだ。要はどう伝えればお客さんは楽しんでくれるかを考えることだ。これはプレゼンのような発表にも応用できる。自分が伝えたいことがよりよく伝わる方法を考えよう。そして、ストーリーと情緒の兼ね合いについての記載が印象に残った。ストーリーをデジタル、情緒をアナログと著者はとらえている。理由は簡単で、ストーリーはあくまで出来事をテキストで羅列しただけのようなイメージで、それを動かすのが人の持つアナログな感情だと考えているからだ。これも結局はお客さんへの意識が重要なのだと思う。よっぽどぶっ飛んだストーリーでもなければ、出来事の羅列はどこかで見たことの焼き増しにしかならない。しかし、そこに様々な情緒を織り交ぜて、お客さんの共感や反感を引き出すことができれば、それは脚本家冥利に尽きるだろう。ブログを投稿することだってそうだ。単に本の要約を載せたところで抽象的にまとめられたテキストはどこかで聞いたような自己啓発的な話ばかりに思われてしまうだろう。そこにわたしたちの想いがのれば、きっと自分にしかない文章が生み出されるはずだ。 ○読後のおすすめ bookyomukoto.hatenablog.com 3年でプロになれる脚本術 posted with ヨメレバ 尾崎 将也 河出書房新社 2016-11-29 Amazon Kindle 楽天ブックス