ショーン・スティーブンソン ダイヤモンド社 2017-02-24
本書はホルモンレベルで睡眠に関して考察している。そのため一読してすべての内容を記憶することは難しいだろう。そのためブログ内でも私が気になった個所を抜粋するようなかたちとしたい。
まず睡眠の重要性を語ために必須といえる情報である。当たり前の考え方だが、大人になると忘れてしまうのが、睡眠によって人は成長しているという事実である。これを「同化作用」と呼ぶ。生体物質を合成してエネルギーを蓄えている。また、思考のばらつきが整理される時間にもなる。対照的に日中帯には、「異化作用」が発生する。ここでは、生体物質を分解してエネルギーを燃やすのだ。人の働きを考えれば妥当だろう。しかし、大人になると成長の概念が変わってくるように思う。精神や思考の成長を求めるためか、睡眠を疎かにする人がいる。おそらく、睡眠による成長には肉体的な成長のイメージがつきまとっているし、そもそも睡眠には成長よりも疲労回復の印象が強いのだろう。
さて、この睡眠を阻害するのが、カフェインや入眠前の運動などである。前者のカフェインは、8時間も効果が残るという研究成果があるようだ。結果的にカフェインを飲んだ状態で寝たとしても、それはノンカフェインと比べると効果的な睡眠にならない可能性があるから気をつけたい。また、入眠前の運動が良くないのは、眠気が熱放出に伴って増長されるものだからである。せっかく適切な熱放出を実現していたのに、それを自分が運動によって体温を向上させ壊してしまっては何の意味もない。運動は朝から午後イチの間で行うのがベストだろう。
また、飲食が睡眠の質に影響を与えるのは、何もカフェインだけではない。腸内環境が悪化していると脳の働きや睡眠に悪い影響が出るという研究成果が発表されているらしい。腸内で働くホルモンがそれらの働きにも関与していることが原因のようだ。これらのホルモンはあまりにも数が多いのでここでは割愛する。ただし、腸内環境が良くないと睡眠の質に影響を与える可能性について考慮し、食生活に気を配りたいと思う。
このように睡眠までの時間で人が考慮すべき要素はたくさんある。一方で、寝ている最中の環境についても考慮が必要だ。それは光に関している。光が眩しいと眠れない人はいるだろうが、ダウンライトや外から漏れる光が人間の肌に触れることで睡眠の質が下がるそうだ。皮膚呼吸のように人は身体全体で光を浴びていることはなんとなく知っていたが、それが与える影響の大きさに驚かされた。なんでも睡眠の質が50%下がることもあるそうだ。遮光カーテンのような対策が必要なのかもなと思った。
この遮光カーテンのような寝具が原因で幼児が連続死した事件が過去のアメリカであったらしい。マットレスに有害物質が含まれていることに気づかないまま使用されていたことが原因だ。日常的に売られている寝具に有害物質が含まれているなんて誰が考えるだろうか。考えるのは、それがどれだけ暖かいのかや涼しいのかである。まさに寝耳に水の出来事であっただろう。こうやって考えると睡眠とは日々の生活について考えることなのかもしれない。定期的な見直しと徹底した習慣化を図りたい。
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ショーン・スティーブンソン ダイヤモンド社 2017-02-24