宇都出 雅巳 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 2016-08-12
前回も主張しているようにメモやTodoなどを活用した仕事術が世に溢れている。一方で、それをなぜ活用するのかに着目する人が少ないという私の疑問がある。本来、このようなワザは、何らかの理由があって、そのために実践されるべきだ。しかし、このようなワザが、とにかく必要だとうったえられて、気が付くと単に習慣になっているという人があまりにも多い。良くも悪くもビジネス系の研修が充実している証拠だろう。しかし、そのような状態は良くない。意味合いを知らないと、実践する際のポイントに気づけないだろうから。
上記の疑問に対する答えは前回の投稿内容を最後に添付することで終わりとしたい。
今回は、本書の後半で語られていた。プライミング効果について記述したい。プライミング効果とは脳が先行情報を感知して行動することを指している。脳にはスキーマと呼ばれるひきだしのようなものがあって、既に知っていることは無意識的にそこから情報を引っ張っていたりする。当たり前だけど全てのことに対して思考していたら、人間はスムーズな動きが実践できない、そのためにも情報はとても大切になるのだ。一方で先行情報は、仕事に対して良い面と悪い面をもたらすことがある。
良い面は、上述したように当たり前のことを自然的な振る舞いで実践できることだ。反射的にすべき作業に良い影響を与える。一方で、常にそのように反射的に仕事をしているうちに環境が変わっている場合がある。気が付いたときには沼にはまっていて抜け出せないことも……自身の業務や作業について振り返る時間が必要ではないだろうか。そこで私は、自分が気にすべき情報をTrelloにメモ書きすることで一元管理したいと思う。仕事前にそれを見返すことで良い先行情報を自分にもたらしたい。これは、「
コピー1枚とれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術」で紹介されていたワザを自分なりにアレンジしたものだ。
また本書で面白かったのが、誰かと会話をしているときに、注意を自分ではなく相手に向けろというものである。よくこんな話を聞く。人が誰かと会話をしているとき、相手の話を聞いているようで、実は相手に話す内容を脳内で整理しているのだと。このような状態では相手と建設的な会話ができないかもしれない。上述したような先行情報も関与してくるとなおさらである。この問題の解消法として本書では、相手の「答え」ではなく「応え」に着目せよと記載されている。テキスト情報だけでなく、コンテキスト情報から相手の考えを探ろうということだろう。コンテキスト社会の日本人であれば意識さえ向ければ実現可能なワザだと思う。相手の言動を見ることで、適切な会話の運びを実践するのだ。これは1on1などを実践するリーダータイプの人間ほど大切な考えになるかもしれない。
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宇都出 雅巳 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 2016-08-12