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本を読むこと-読書から何かを学ぶためのブログ-

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起業を考えたら必ず読む本(井上 達也)を読んだ感想・書評

ビジネス 起業

 なんだか成功している事例ばかりだな。起業家の出版している本を読んでいた僕はそう思った。出版社も売上は大事になるのだから、著名でない起業家の本は出版したくないだろうし、成功していないのに著名な起業家なんて世の中にそうはいないだろう。
 本書の著者は成功している起業家に分類される人だ。一方で順風満帆に起業家としての人生を送ってきたわけでもなさそうだ。そんな起業家としての壮絶体験が描かれていたのはとても良かった。強いて言うならそれが数ページの簡単な出来事の描写に留まっていたのは残念だった。その辺りをもっとしっかり描くことができれば、それだけでも一冊書けそうだ。
 その壮絶体験の一つに大手企業との関わりがあった。弄ばれるように利用されて放り投げられた著者は、それ以降で大手企業と関わる際に契約書を作成することを必須としたそうだ。僕自身がわりかし大手の企業で働き、無駄なのでは? と疑問を抱くぐらいの決定書類が用意されている環境を見ていると、著者の経験や判断は大手企業の中では無意識のノウハウとして蓄積されているものなのかもしれない。それが足かせになることもあるのだから組織運営のバランスとは難しい。

 さて、このような著者の経験がいくつも記述されているのだが、改めて「あぁ、そうだよな」と確認させられた事実もある。例えば、マッチングビジネスの難しさだ。webを使ったサービスの代表格であるマッチングビジネスは、先にどちら側を捕まえるのかが難しい。例えば、お店と客を結びつけようとしても、どちらかが不足していると途端にそのサービスの魅力はなくなってしまう。両方が充足している環境を用意しなければそれはサービスとしての価値を発揮できないまま運用費だけがかさんだり、顧客の利用率低下につながってしまうのだ。

 またこんな話もあった。これは著者の知人がコンサル型のビジネスを展開しようとしたときの話だ。彼のビジネスはその能力と改善したい環境によって業務が規定されるため、見積もりを作るのに時間がかかった。すると依頼は来るが受注できない。見積もりの作成に時間を要するので、生産性もどんどん落ちていったそうだ。なるほど、このように見積もりが必要な場合、請け負った仕事と依頼金の例を提示しておくなどの準備が必要なようだ。顧客は欲しいものを買うとは限らない。金銭や時間との兼ね合いが必ず発生する。それを予め考慮できる要素をサイトなどで提示しておくのだ。そうすれば見積もりを作成してから「想像と違う」と言って離れていく顧客候補の人たちを恨む必要もなくなるのだろう。

 このような起業における様々なトラブル要因がいくつも書かれてあった。著者はとても苦労したんだなと読んでいて実感することができる。このような経験があったからこそ現在のビジネスモデルを考えることができたのだろう。顧客を知るためには検証と失敗は欠かせない。そしてそのような経験を記した本を読むことは、それらの学習を促進する効果があると思う。起業や社内ベンチャーに興味のある方には、ぜひご一読いただきたい。

 

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