7日間企業(ダン・ノリス、平野敦士カール)を読んだ感想・書評
アメリカのアマゾンでランキング10部門中3部門で1位を取った一冊。何度も起業しては失敗を繰り返したという著者が、成功するため(現在のビジネス)に行ったことや、失敗した事業と成功した事業の違いをまとめた一冊だ。以下で僕が興味を持った箇所をメモがてら記述していきたいと思う。
まず最初に著者はスタートアップに大事な三要素を提示している。
①アイデア――これは3要素の内の1つにすぎないということを自覚しなければならない。この要素に対して労力を割きすぎた結果、失敗した経験からきているようだ。結果は頭の中の顧客が教えてくれるわけではないのだ。
②エクスキューション――本書では事業を市場に早期投入することを推奨している。顧客の反応を早く知ることが大切だからだ。確証のない検証や推測によるプロダクトの改善にばかり時間を費やしているのならば、可能な限り早くローンチするべきだ。七日間で起業することを提唱しているのもそのためだ。
③ハッスル――最も顧客を引き寄せそうな行動に注力すること。顧客にどうすれば告知できるのか、どうすれば製品に価値を感じてもらえるのか。
さて、これらの3要素を活かしつつ、企業を成功させるために、提唱されるのが7日間企業である。ちなみに著者もこの7日間企業を実施し、現在成功を収めている。これは著者のビジネスが切迫した状況となり短期間で収益を確保するビジネスを考案する必要に迫られたからだ。(もちろんただ目の前の金の臭いにだけ食らいついたわけではない)。そしてそこで7日間企業で紹介されている手順にのっとった企業をしたようだ。
・1日目
優れた独立企業アイデア9要素を使って考え付いたアイデアの精査を行う。これに値しないアイデアは実践しないのだが、アイデア自体はこの日に考えてもいいし、著者はある程度温めていたアイデアがあったようなことを文中に記している。
①毎日楽しめるタスクであること――その業界や製品だけでなく、そのビジネスを拡大させることに楽しみを見出すことができるかどうか。
②プロダクトと創業者の相性――プロダクトとマーケットとの相性ばかりが語られている。創業者が楽しんで取り組めることや、強みを発揮できることは事業の成否に影響を与える。
③拡大可能なビジネスモデル――顧客にどのように請求するのか、そして月日を重ねるごとに成長できる合理的な道筋を見つける。小さなスタートから大きな市場へ、この点はピーター・ティールの提唱するモデルとも重なる。
④創業者がいなくても利益が上がる、利益を生み出すビジネスモデルをつくる
⑤売りになるアセット――第三者がお金を出せると価値を認めるアセットを構築する必要がある。またどのようなアセットをその製品が生み出せるのかを考えて、それを取り組みに活かす。
⑥大きなマーケットポテンシャル――小さなマーケットから、大きなマーケットへ出る方法を考えておく。
⑦ペインとプレジャーによる差別化――顧客が最も大切にしている要素において飛びぬけた優位性を持つようにする。苦しみの感情を与えずに、喜びの感情を与えることを心掛ける。
⑧すばやくローンチする能力――すばやくローンチして修正できるアイデアこそゼロからの企業にふさわしい。自分に潤沢な資金や資産がないのならば、特に本書の教えは役に立つ。
・2日目「MVPってなんだ」
MVPとは製品の必要最低限の機能を表している。基本的にはマーケティングに関して考えることになるのだが、内容は実はそんなに難しいことではないのかもしれない。なぜならば、ここで考えるのは自分たちが考えたアイデアの中で顧客にとって本当に必要な部分はどれなのかを考え、どうやってそれを顧客のもとに届けるのかを考えるだけだからだ。もちろんそれが難しいのだけど、往々にして人は難しく考えすぎる。可能な限り、機能をシステマチックにしようとして、時間を費やしてしまったり、外注することで余計なセッションをもたらしたりしてしまう。本書の主張としては、最初のうちは顧客が求める最低限の機能があればいいし、それが手作業でできるのならばそれでいい。それよりも早くローンチして顧客の反応を知ることに時間を費やすべきなのだ。
・3日目「ビジネスの名称を決める」
ここでビジネスの名称を決めるが、ここに時間を費やす必要は全くない。いずれ修正することが可能だし、最も重要なのは名称ではなく製品の中身と販売にあるからだ。ある程度既存ではないなどのチェックをクリアすれば問題ないだろう。本書にはそのチェックリストも用意されている。
・4日目「1日で、100ドル以下でwebサイトを構築すべし」
ワードプレスを使って自社サイトをここで構築する。文章を読んでいると、ここでは本当に簡易的なサイトを用意しているようだ。無駄なことに時間をかけないで、とにかくローンチして利益を出すという重要な事項への注力を促している。もちろんローンチ後にサイトも適宜修正を加えていくようだ。
・5日目「マーケティング10の必勝法」
ここでは様々なスタートアップにおけるマーケティングの必勝法が記されていた。重要なのはローンチ後1~2週間の計画を立てること。著者の提唱する10の必勝法を知りたい方はぜひ本書を購入していただくといいだろう。
・6日目「目標を立てる」
決して「いいね」の数のようなものを指標にしてはいけない。財務諸表のような具体的な数値を目標にして、数値の向上を実感しやすい方法を考えておくと、モチベーション向上にもつながるだろう。
・7日目「ローンチする」
ついにローンチするときだ。ここまできてもやることは変わらない。顧客にとって必要なことを考え、それだけを実装することを考えるのだ。今までに実行してきたことを効率よく回していくことで製品をグレードアップさせていくのだ。
メモ代わりという思いで僕個人としてはかなり詳細に記述したつもりだが、細かなところや僕が既に知っていることなんかはここにはあまり記述されていない。それでも中途半端に書くよりは……と七日間の大まかな流れぐらいは記述してみた。この投稿を見て興味が湧いた人や自分にとって必要かもしれないと思った方には、ぜひ購入していただきたい。なによりも起業で失敗した後に成功しているという事実を本にして周知してくれているのは希少で大切なのだ。
〇読後のおすすめ
スタートアップを始めるのならば本書を抜きに語ることはできないだろう。プロダクトの軸を決めるうえで大切な考え――「隠された真実」に対する考え方は、ビジネスを抜きにしても興味をそそられること間違いない。
堀江貴文が起業するに至った経緯を過去の経験を交えて語っている。彼がなぜ働くのか、なぜそこまでストイックに様々な事業に注力しているのかを知ることができる。堀江貴文の人間性の理解にもつながると思う。