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ひどい句点(佐々木愛)を読んだ書評

 第96回オール読物新人賞 受賞作「ひどい句点」の書評を記す。

 新人賞の受賞作をリアルタイムでブログのネタに使うのは初めてかもしれない。個人的に新人賞にはその人が作家としてどのように作品と向き合っていくのかという決意が記されていると考えているので読むのを非常に楽しみにしているのだ。

 

オール讀物 2016年 11 月号 [雑誌]

オール讀物 2016年 11 月号 [雑誌]

 

 

 選考委員のコメントを読んでいると男性陣には、女性ほどのウケがなかった作品のようだが、僕はこの作品に対して良い印象を抱いた。

 何よりもまず文章が丁寧でテンポ感も良い。女性作家の作品を読んでいると、話自体は面白いのだが心理描写が濃厚すぎて読んでいて疲れてしまうことが何度かあった。しかし本作品でそのようなことば全くなかった。とても読みやすいように感じたのだ(もちろん短篇作品であることも影響なしとは言い切れない)。

 

 またタイトルや伏線の回収の仕方がとても良かった。話の中で何度か句点の表現が出てきていたが、ホテルで婚約指輪を見た際のそれぞれの捉え方が良かった。なんとなく浮かれている男性と女性の対比が歪なんだけれど心地よい。心地よいシーンではないはずなのに心地よさを感じていたのは文体が好みだったからか、それとも男性目線で読んでいて浮かれてしまっていたのかもしれない。

 

 最後に主人公の友人が小玉さんのことを「ズレている」と何度も言うが、男なんてどこかそんなもんだ。主人公と偶然会ったときから彼女のことを抱いてやろうなんて考えていたわけではあるまい。本当に自分と同じ業界への就職を考えている女の子を助けてあげようとしていたのだろう。しかし抱けるチャンスがあればそのチャンスについて考えてしまうのが男なのだ。小説のキャラにこのような考察をもたらすこと自体虚無なのかもしれないが、どうしてもそう思ってしまう。

 ただ本作品では主人公の容姿が具体的に描かれていない。これはわざとなのだろうか。主人公の容姿次第で小玉さんの心理の変化の描写なんかもまた変わるのだろうと思う。

 

オール讀物 2016年 11 月号 [雑誌]

オール讀物 2016年 11 月号 [雑誌]