『HAPPY BOX』幸せを紡ぐ五つの物語。様々な幸せのカタチとは[レビュー]
『HAPPY BOX』(PHP文芸文庫)を読了したので、その感想を投稿したいと思います。
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本作は名前に『幸』の文字が付く五人の小説家が、『幸せ』をテーマに、それぞれの短編を紡いだアンソロジー型の小説になっています。
私は伊坂幸太郎の短編に興味があったので、購入しました。つまり、その他の作品の著者に関しては、ほぼ知識もない状態で購入しました。結果的に多くの作品に触れる機会をもてたので、良かったなあ、と思っています。
個人的には伊坂幸太郎の『Weather』が一番好きで、二度読みました。
伊坂幸太郎は「読者を驚かせることを常に念頭に置いている」と常々答えています。本作においても、この考えをとても大切になさっていたそうです。同時に伊坂幸太郎は、言い回しの表現にも力を入れていることを公言しています。これだけ聞くと「小説家が言い回しに力を入れるのは当然なのでは?」と、ついつい思ってしまうのですが、実際に読んでみると、その努力のカタチが目に見えて分かります。
私は本作の結婚式場で清水が仕組んだ仕掛けにおおよそ気が付きました。
しかし!それでも!二度読むぐらいの面白みがありましたし、なんなら泣きました、、
その面白さの秘訣は、伊坂幸太郎の言い回しやテンポ感にあると思っています。もちろん全ての読者の方が、伊坂幸太郎の言い回しやテンポ感に惹かれるとは限りませんが、少なくとも私は大好きです。
個人的に伊坂幸太郎以外の小説家の作品でおもしろかった、と思ったのは山本幸久の『天使』という作品です。
この作品に興味を持ったのは、最近読んだ中村文則の『掏摸』という作品と同じく、天才的な掏摸の技能を持つ掏摸師を主人公としたストーリーだったからです。
「なんだよ、そんなことかよ」と思われてもおかしくないですね、、すみません。
もちろんそれだけではなくて、話自体にも魅力を感じました。
伏線と読者に考えさせるラストシーン。皆さんはどのような結末を考えたのでしょうか?読んでいない方にはぜひ、一度読んでいただきたいなあ。そして、考えてほしい。
最後に伊坂幸太郎が『Weather』で使用した文献を載せておこうと思います。
お天気について本で読むのも面白そうですね。